こんにちは、公認会計士のなおです。今回はこういう疑問にお答えします。
論文式試験の企業法の勉強法は、私も受験生のころは、自分の勉強法があっているのか不安な状態で勉強していた記憶があります。
でも合格したときには成績もよく模試でも偏差値はよかったので、これであっているのだとだんだん確信していきました!
今回はわたしが論文合格時に勉強していた方法を伝授します!
私は、論文式試験の企業法は得意科目で、模試の判定でもA判定、本番でも偏差値60.85でした!
是非参考にしてみてください。
別の勉強法についてもありますので、是非参考にしてください。
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企業法の勉強方法
まず、短答式試験の企業法と論文式試験の企業法は別物と考えた方がいいです。
短答式試験の時には、選択肢を選んで回答する形だったので、条文に規定されている事項の暗記でしたが、論文式試験の企業法は、条文に規定されている事項を使いながら、立法趣旨や解釈などを論述する必要があるので、全く勉強方法が異なります。
なので、結論、論文の企業法は、①条文の趣旨と条文解釈の暗記②問題の所在、問題提起、規範定立、あてはめなどの問題に対する回答の流れの暗記を行う必要があります。
具体例を使用したほうが具体的な勉強方法がイメージできると思うので、以下具体例(論点論証型と制度説明型)を使用します。
ちなみに、わたしが使用した教材は3つです。
専門学校のテキスト
専門学校の論文問題集
TAC、大原の模試
私はこの3つだけを使用して本番に挑みました。
論点論証型の問題
Example
「取締役会の決議にて株主総会を招集することを決定したが、取締役会の開催に際して、一部の 取締役に招集通知漏れがあった。招集通知が漏れた取締役不在で行われた取締役会で、代表取締役が株主総会を招集し、ある決議を成立させた場合、株主総会でなされた決議の効力はどうなるか。」
こういう問題が論点論証型の問題です。
論点論証型の問題は、問題の所在と問題提起、規範定立、あてはめという流れで、文章を構成します。
問題提起から順番に覚えていきます。
まずこの例題は論点が2つあります。
論点
- 一部取締役への招集通知を欠いて行われた取締役役会の効力
- 取締役役会決議を欠く代表取締役の株主総会の効力
2つあるので問題提起、規範定立、あてはめも2つずつあります。
問題の所在、問題提起①
ここでは、株主総会の招集は取締役会で決定しなければならない(298条4項)が、一部取締役に招集通知漏れがあり、欠席者がいる。取締役役会の招集通知は全員に発する必要がある。(368条1項)
この取締役役会決議の効力が問題となる。
規範定立①
民法の一般原則から、無効
ただし、招集通知が来なくて欠席した取締役がいてもいなくても決議に影響を及ぼさないときには831条2項を類推し例外的に有効
あてはめ①
例題からは欠席した取締役がいてもいなくても決議に影響を及ぼさないか判断できないから当該決議は無効。
問題の所在、問題提起②
有効な取締役会決議を経ないで株主総会を招集しているがこの効力が問題。
規範定立②
無効とすることで守られる会社の利益と有効と信頼した第三者の取引の安全の比較衡量で決定すると解する。
あてはめ②
株主総会を招集行為は会社の内部的行為なので、会社の利益だけを考慮すればよいので無効と解する。
といったところです。
これが問題の所在、問題提起、規範定立、あてはめの一連の流れです。
こういう論点論証型の問題は問題集にたくさんありますよね?
論点論証型の問題は、①問題の所在、問題提起、②規範定立、③あてはめを問題ごとに覚えていくことが必要になります。(1言1句の暗記ではなく、内容を覚えていきます。)
基本的には条文を欠いたら、条文の趣旨を書けるようにしておけば、点が拾いやすくなりますので、よくでる条文に関しては必ず趣旨を暗記してください。(私はテキストにのってる趣旨は覚えていました。)
制度型問題
Example
「株主が株主総会決議の効力を争うには、会社法上どのような制度があるか」
こういう問題が制度型の問題です。
制度型の問題は条文に載っていることを列挙して、順番に説明していきます。その際に条文の趣旨が書ければ、文章に深みがでるので、趣旨も書けるように必ず暗記してください。
例題では、①決議取り消しの訴え②決議無効確認の訴え③決議不存在確認の訴えの3つがあげられ、答案では、総論部分を書いたのちに、順にこれらの説明をしていきます。
総論
株主総会に瑕疵がある場合は、民法の一般原則からすれば、株主総会決議は無効となるはずである。
しかし、株主総会決議は株主、会社債権者等の多数の利害関係者にえいきょうを及ぼすので、その処理を民法の一般原則に委ねるのは妥当ではない。そこで会社法では、①決議取り消しの訴え②決議無効確認の訴え③決議不存在確認の訴えの3つの制度がある。
この総論部分は、問題ごとに暗記(こういう場合は民法の一般原則を出しながら書くんだな等)してください。
具体的な制度
次は①決議取り消しの訴え②決議無効確認の訴え③決議不存在確認の訴えの3つの制度を説明していきます。
まず、①決議取り消しの訴えの条文(831条1項1号~3号、831条2項)に記載されていることを答案に書き、趣旨を書く
条文は、載っているので、そのまま答案に書いてください。
趣旨は、831条1項1号~3号は軽微な瑕疵であることが多いから、無効とはせずに取り消しができることとし、形成訴訟としたうえで、瑕疵の主張の可及的制限の要請から提訴権者と提訴期間を制限し、法律関係の画一的確定の要請から認容判決には対世効を認め、認容判決の確定により初めて遡及的に無効になるとして、法的安定を図っている。
831条2項の裁量棄却制度の趣旨は、軽微な瑕疵であることが多く、再度決議をやり直しても同じ結果となることが予想される。
同じように、②決議無効確認の訴え③決議不存在確認の訴えも書きます。
あとは、この3つの共通点として、認容判決に対世効が認められている点、遡及効が阻止されていない点があげられるので、これも書ければ、OKです。
見えてきますでしょうか。制度型の問題は、該当する条文を探し、その趣旨を書いていけば、点数に結び付けることが可能です。
制度型の問題は論点論証型と違って、ストーリーがあるわけではないので、取っつきにくく、負担が大きいかもしれないですが、該当する条文を見つけ、趣旨で文章をつないでいけば大丈夫です。
おわりに
企業法は、論ずれがかなり怖い科目です。大問2題しか出ないので、論ずれしてしまうと、足切りの可能性が一気に増えてしまいますので、論ずれには注意してください。
論ずれしないためには、文章を書き始める前に、よく問題文を読み、最後の結論まで考えてから、書き始めることです。
また配点は条文番号にもあるので、条文の写し間違えにも注意して、絶対に条文番号も書きましょう。そして条文を書いたら趣旨も書くように意識すると点数が上がりやすいです。
なので、勉強するときには、答案構成の勉強だけでなく、必ず、条文の趣旨も暗記してください。条文の趣旨を覚えておくと見たことない問題でも対応できるようになるので重要です。
企業法の勉強はストーリー、条文の趣旨の暗記とストレスが大きいと思いますが、愚直にやり続けるしか方法はないです。
最後に論文式試験頑張ってください。試験までのあともう少しの踏ん張りです!
皆さんの合格を心から祈ってます!!!
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