会計・税務

収益認識基準をわかりやすく解説【適用範囲、強制適用時期、基本的な考え方、5ステップ】

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こんにちは、公認会計士のなおです。

 

収益認識基準ができ、既に適用が開始している会社もあるかと思います。

 

そこで今回は、収益認識基準について解説していこうと思います。

 

従来、日本では収益認識に関する包括的な会計基準は存在しなく、収益の認識は実現主義によって認識されていました。

 

実現主義の下での収益認識は、①商製品またはサービスの移転②現金または現金等価物の受領の2要件を満たしたら、収益を認識していました。このように詳細なルールを定めるものではなく、抽象的なルールを定めていただけに過ぎなかったです。

 

新しくできた収益認識基準では、あとで述べますが、5つのステップを踏むことで収益の計上単位や収益額、収益の計上時期を決定していきますので、従来の実現主義により収益を認識していたより厳密にルール化されたものになります。

 

今回は収益認識基準の全体像についてわかりやすく解説します。

 

収益認識基準の適用範囲

収益認識基準では、「顧客との契約から生じる収益に関する会計処理および開示」に適用されます。

 

しかし、適用対象外となるものがあり、それは以下です。

 

(1) 企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」の範囲に含まれる金融商品に係る取引

(2) 企業会計基準第 13 号「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれるリース取引

(3) 保険法(平成 20 年法律第 56 号)における定義を満たす保険契約

(4) 顧客又は潜在的な顧客への販売を容易にするために行われる同業他社との商品又は製品の交換取引(例えば、2 つの企業の間で、異なる場所における顧客からの需要を適時に満たすために商品又は製品を交換する契約)

(5) 金融商品の組成又は取得に際して受け取る手数料

(6) 日本公認会計士協会 会計制度委員会報告第 15 号「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」の対象となる不動産(不動産信託受益権を含む。)の譲渡

(7) 資金決済に関する法律(平成 21 年法律第 59 号。以下「資金決済法」という。)における定義を満たす暗号資産及び金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号)における定義を満たす電子記録移転権利に関連する取引

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/shueki20200331_02_20200706.pdf

 

(1) 企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」の範囲に含まれる金融商品に係る取引」、(2) 企業会計基準第 13 号「リース取引に関する会計基準」の範囲に含まれるリース取引は、従来から、「金融商品に関する会計基準」、「リース取引に関する会計基準」があるので、従来からのを適用し、収益認識基準は適用しないとされています。

 

そして、収益側では、収益認識基準を適用するが、費用側では従来通りの認識なので、例えば、親会社が収益認識基準を適用した場合の親子会社間取引に関しては、連結相殺時に収益側と費用側で、金額が一致しないこともあり得るので、実務上では、注意が必要です。

 

収益認識の適用時期

収益認識会計基準は、公認会計士や監査法人による監査対象になる大企業に関しては、2021 年 4 月 1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用となっています。中小企業(監査対象法人以外)に関しては、まだ適用しないことも可能です。

 

中小法人に関しては、今後、情報が代わる可能性があるので、こまめに情報をチェックしてください。

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2018/pdf/001.pdf

 

基本的な考え方

資料の画像

収益認識会計基準は、基本的な考え方として、資産負債アプローチを適用しています。

 

収益を資産負債アプローチで認識するということはどういうことかというと、資産が増加したとき、負債が減少したとき、その両方が生じたときに収益が認識されます。

 

企業が顧客との間で契約を締結した時点で、顧客に財またはサービスを提供する義務(契約上の義務)と顧客から対価を受け取る権利(契約上の権利)が生じます。

 

収益は、企業がこの「財またはサービスを提供する義務」を履行したときに義務が消滅し、契約上の権利だけが残るので、収益が認識される関係になっています。

 

なので、この収益認識会計基準は、「履行義務の充足」というのが重要になります。

 

IFIRS第15号「顧客との契約から生じる収益」との関係

収益認識会計基準は、IFIRS第15号をほぼ踏襲しているが、収益認識適用指針92項~104項は、原則的な処理によらない代替的な処理が認められており、当該部分がIFIRS15号と異なるところです。

 

IFIRS15号と違うところで101項に、重要性が乏しい取引に関しては、収益認識会計基準は、適用しないことができると記載してあります。

 

重要性とは、個々の企業によっても判断が異なり具体的にな判断基準はないところですので、投資家の判断に影響を与えるか否か、企業の状況等に応じて適切に判断する必要があります。

https://www.asb.or.jp/jp/wp-content/uploads/shueki20210326_02.pdf

 

5ステップとは

収益認識会計基準では、収益を認識する際に5つのステップを踏む必要があります。

 

この5つのステップを踏むことにより、収益計上の単位収益計上の金額収益計上時期が決定されます。

 

ステップ1:顧客との契約の識別

ステップ2:契約における履行義務の識別

ステップ3:取引価格の算定

ステップ4:履行義務への取引価格の配分

ステップ5:履行義務の充足による収益の認識

5ステップに関する記事はこちらに記載しています。

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収益認識基準の5ステップについてわかりやすく解説

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まとめ

今回は収益認識会計基準の全体像について解説していきましたが、いかがでしたでしょうか。

 

新しく収益認識に関する考え方が明確化されたので、難しく感じるかもしれないですが、全体像をざっくり理解できたのではないでしょうか。

 

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