こんにちは、公認会計士のなおです。
公認会計士試験の免除制度てなに?自分が免除の対象になるのかわからない、免除の申請てどうやってやるの?
とおもっていませんか?
公認会計士試験の免除制度には、一部免除と全部免除があり、免除できる方の条件や必要書類、当該制度を利用することのメリットやデメリットについてお話ししようと思います。
この制度は例えば、大学教授、博士学位取得者、司法試験合格者等、ほかにも一定の専門資格者(税理士)、一定の企業などにおける実務経験者、専門職大学院の修士(専門職)の学位修得者に対して、
試験科目の一部を免除できる制度であり、社会人を含めた多くの方が受験しやすいように設けられた制度となっています。
私が受験生の頃は、この会計士試験の免除制度について詳しく知らなかったのですが、これから公認会計士を目指す方、
今試験勉強している方で免除制度が使えるか気になっている方がいたら、是非参考にしてください。
短答式試験の一部・全部免除の条件、必要書類
短答式試験の一部・全部免除を利用できる条件は以下になります。
短答式試験の全部免除
短答式試験の全部免除該当者 | 添付書類 |
大学教授、博士学位取得者 大学等において3年以上商学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあった者又は商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 | 【教授等の場合】 1.在職(在籍)証明書(3年以上の在職が明らかになるもの) 2.講義概要(講義要領、シラバス、教材等のほか授業報告書など在職3年間の講義の内容が明らかになるもの) 3.時間割表(在職3年間) 4.学歴及び経歴書 5.研究業績一覧
等
【博士号の場合】 1.学歴及び経歴書 2.研究業績一覧 3.博士課程在籍及び成績証明書 4.博士学位論文(コピー可) 5.博士学位授与証明書 6.博士学位審査報告書
等 |
大学教授、博士学位取得者 大学等において3年以上法律学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあった者又は法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 | |
高等試験本試験合格者
| 【高等試験(司法科)の場合】 法務省発行の合格証明書
【高等試験(行政科)の場合】 内閣府発行の合格証明書 |
司法試験合格者及び旧司法試験第2次試験合格者 | 法務省発行の合格証明書 |
短答式試験の一部免除
免除科目 | 短答式試験の全部免除該当者 | 添付書類 |
財務会計論
| 税理士 税理士となる資格を有する者又は税理士試験の試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について基準(満点の60パーセント)以上の成績を得た者(基準以上の成績を得たものとみなされる者を含む。)
(注)「税理士試験の試験科目のうち簿記論及び財務諸表論の2科目について基準(満点の60パーセント)以上の成績を得た者」には、簿記論及び財務諸表論の2科目合格した者若しくは1科目合格かつ1科目免除の者が該当し、2科目ともに免除された者は該当しません。 | 【税理士となる資格を有する者】 1.日本税理士会連合会発行の「登録事項証明書」 2.国税審議会発行の「合格証書(コピー)」等、税理士となる資格を有することを証する書面
※1及び2の両方とも提出してください。なお、税理士登録を受けていない者は、審査会事務局試験担当係に照会してください。
【税理士試験における一定の成績取得者】 国税審議会発行の「税理士試験等結果通知書(コピー)」等、簿記論及び財務諸表論の2科目について基準以上の成績を得たことを証する書面 |
金融商品取引法に規定する上場会社等、会社法に規定する大会社、国、地方公共団体その他の内閣府令で定める法人において会計又は監査に関する事務又は業務に従事した期間が通算して7年以上である者 | 1.在職証明書(在職期間、担当部署名等を詳細に記載してください) 2.業務分掌規程(左の事務又は業務に従事した期間全てに係るもの) 3.従事した事務又は業務の内容が分かる書類 4.会社案内 5.従事した期間において監査を受けていることが分かる書類(左の事務又は業務に従事した7年間分の監査証明書(コピー))等 ※1及び3には会社の社印による押印は不要です。 ※発行元に対して照会する場合があります。 | |
企業法以外 | 会計大学院の修士学取得者 会計専門職大学院において、 (a)簿記、財務諸表その他の財務会計に属する科目に関する研究 (b)原価計算その他の管理会計に属する科目に関する研究 (c)監査論その他の監査に属する科目に関する研究 により、上記(a)に規定する科目を10単位以上、(b)及び(c)に規定する科目をそれぞれ6単位以上履修し、かつ、上記(a)から(c)の各号に規定する科目を合計で28単位以上履修した上で修士(専門職)の学位を授与された者
(注1)「修士(専門職)」の学位による試験科目の一部免除は、必要とされる単位を履修した上で、当該学位を授与された者が試験科目の一部免除の対象となります。したがって、当該学位授与後に、科目履修等により修得した単位は、試験の一部科目免除に必要となる単位に算入されません。 (注2)「専門職大学院」とは、平成15年4月1日施行の専門職大学院設置基準により、新たな専門職養成課程として設置された大学院をいいます。
| 修得・修了証明書 (履修科目に関して講義の内容などが分かる書類の提出を求める場合があります。) (注)「成績証明書」「修了証明書」等では受理できません。必ず「修得・修了証明書」を提出してください。
なお、9月又は3月に修士(専門職)の学位の取得が見込まれる者については、2段階(修了前に「修得・修了見込証明書」、修了後に「修得・修了証明書」)の証明書提出により、免除申請することが可能です。具体的な手続については、短答式試験ごとに受験願書と併せて配付する受験案内を確認してください。 |
論文式試験の一部免除の条件、必要書類
論文式試験の免除には全部免除はありません!一部免除のみです。
免除科目 | 論文式試験の一部免除該当者 | 添付書類 |
経済学 | 大学教授、博士学位取得者 大学等において3年以上経済学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあった者又は経済学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 | 【教授等の場合】 1.在職(在籍)証明書(3年以上の在職が明らかになるもの) 2.講義概要(講義要領、シラバス、教材等のほか授業報告書など在職3年間の講義の内容が明らかになるもの) 3.時間割表(在職3年間) 4.学歴及び経歴書 5.研究業績一覧 等
【博士号の場合】 1.学歴及び経歴書 2.研究業績一覧 3.博士課程在籍及び成績証明書 4.博士学位論文(コピー可) 5.博士学位授与証明書 6.博士学位審査報告書 等 |
会計学 及び 経営学 | 大学教授、博士学位取得者 大学等において3年以上商学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあった者又は商学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者 | |
企業法及び民法
| 大学教授、博士学位取得者 大学等において3年以上法律学に属する科目の教授若しくは准教授の職にあった者又は法律学に属する科目に関する研究により博士の学位を授与された者
| |
司法試験合格者 | 法務省発行の合格証明書 | |
旧司法試験第2次試験合格者の場合は、 旧司法試験の第2次試験において受験した科目(受験した科目が商法又は会計学である場合は、企業法又は会計学) | 旧司法試験第2次試験合格者 | |
高等試験本試験において受験した科目(当該科目が商法である場合は、企業法)
| 高等試験本試験合格者 | 【高等試験(司法科)の場合】 法務省発行の合格証明書 【高等試験(行政科)の場合】 内閣府発行の合格証明書 |
経済学 又は 民法 | 不動産鑑定士試験合格者及び旧鑑定評価法の規定による不動産鑑定士試験第2次試験合格者
| 国土交通省発行の合格証明書 |
租税法 | 税理士となる資格を有する者 (注)弁護士は、税理士法に規定された「税理士となる資格を有する者」に該当しますが、公認会計士試験の本号による科目免除の対象には含まれません。
| 1.日本税理士会連合会発行の「登録事項証明書」 2.国税審議会発行の「合格証書(コピー)」等、税理士となる資格を有することを証する書面
※1及び2の両方とも提出してください。なお、税理士登録を受けていない者は、審査会事務局試験担当係に照会してください。 |
会計学 | 企業会計の基準の設定、原価計算の統一その他の企業会計制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で会計学に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者 (注)文中の「公認会計士・監査審査会が認定した者」については、 「公認会計士法施行令第一条の三第一号及び第二号に規定する認定の基準について(PDF)」に定められています。
| 審査会事務局試験担当係に照会し てください。 |
監査論 | 監査基準の設定その他の監査制度の整備改善に関する事務又は業務に従事した者で監査論に関し公認会計士となろうとする者に必要な学識及び応用能力を有すると公認会計士・監査審査会が認定した者 (注)文中の「公認会計士・監査審査会が認定した者」については、 「公認会計士法施行令第一条の三第一号及び第二号に規定する認定の基準について(PDF)」に定められています。 | 審査会事務局試験担当係に照会してください。 |
申請方法
試験において免除を受けるためには、受験願書に免除通知書コピーなどを添付する必要があるので、免除申請は、受験願書の提出より前に行う必要があります。申請はいつでもでき、審査に時間を要する場合もあるので、早めに行いましょう。
免除申請は書面で行う方法とインターネットで行う方法があります。
書面による申請
- 公認会計士試験免除申請書を以下リンクからダウンロードし、必要事項を記載
- 添付書類を同封し、公認会計士・監査審査会事務局まで送付(送付先、提出方法は以下リンク参照)
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/menjosinsei.html
インターネットによる申請
インターネットによる申請は、各回の短答式試験ごとに受験願書と併せて配布する受験案内にて方法が記載ありますので確認ください。参考として令和3年度試験では以下のリンクです。
受験案内
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/seikyu_r03/jukenannai_r03.pdf
出願リンク
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/information.html
免除制度を利用することのメリット、デメリット
短答式試験も論文式試験も免除制度を利用できますが、利用するメリットとしては、受験科目が減るので、勉強の負担を軽減し、全科目受験生より残りの科目に注力でき差別化を図りやすくなります。
一方で、短答式試験の科目を免除しても論文式試験で受験しないといけない場合は、全科目受験生より、実力が劣る可能性があるのと、
免除科目が得意科目の場合は、残された科目だけで合格点をとることができない可能性もあるので、免除制度を利用することで本当に有利になり合格に近づくかは個々人で検討しないといけないです。
おわりに
短答式試験を全科目免除できる商学または法律学の博士号取得者、高等試験本試験合格者、司法試験、旧司法試験第2次試験の合格者や、短答式試験を企業法のみにできる会計大学院の修士学取得者は、負担軽減が大きいので、
論文式試験は大変になるかもしれないですが、短答式試験で免除制度を利用し、論文式試験に注力するのが一般的だと思います。
免除制度をうまく使い、是非公認会計士試験の合格を勝ち取ってください!!
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